特別講座

16:00~17:40

レセプションホール


チェンバロ製作家・柴田雄康氏を偲んで

~レクチャーと演奏~ 野村満男/渡邊順生


・野村満男先生より、特別講座のレジュメをお寄せいただきました。

フレミッシュとは

 

響きの良い偽作楽器

 オリジナル楽器がすべて良い音とは限りません。ルッカース研究の泰斗・G. オブライエンは、調査したスイス・個人蔵のルッカース‘1644a HR’が、十八世紀後期フランスで作られた偽造楽器ながら「かつて聴いた最も素晴らしい響きをもつ楽器のひとつ」と報告しています。また、オリジナルの現存チェンバロ・クラヴィコードのカタログを著したD. ボールチは、ラッセル・コレクション蔵で製作年不明のクローリー夫人のクシェといわれるタスカンによる偽作楽器について、「かつて弾いたことのあるハープシコード中、最も素晴らしい‥」と書いているように、偽作楽器に優れたものがあったりします。


楽器の音色
 この2台の共通点が、フレミッシュ由来のモデルです。そのためチェンバロは、オリジナル楽器でなくともヴァイオリンのように形状・寸法が音色に影響し、それを上回って、響きの良さはかなり作り手次第であるということがわかります。
「弘法筆を選ばず」といいながら、やはり演奏家は優れた楽器を求めるものです。コンピューターのあり方に似て、楽曲と演奏というソフト分野が活きるハードとしての楽器が優秀であってほしい。チェンバロのいい音は、カオス的にいろいろな要因が絡まるので、良材を使い、図面通り作ってもダメ。つまり、経験を積んだ製作者のウデ次第なのです。


フレミッシュを知ろう
 諸国様式のうちフレミッシュ・モデルは、ヴァイオリン分野の源流であるストラッドに似て、イタリアン以外のチェンバロのルーツ的モデルだといえます。したがって源流に遡り、フレミッシュ・モデルを知ることは、来たる5月の「チェンバロの日」にふさわしいテーマとなるでしょう。
フレミッシュと現代 今、ヒストリカルあるいはピリオド楽器のオリジナル性を求める潮流となっています。ところが、なんとフレミッシュ・モデルが良いからといって、そのオリジナル性を追求すればするほど、現代の音楽生活の様式からそれてしまうのです。どこが?どのように?そのことをご紹介したいと思います。


 日本のチェンバロ造りの礎になった故・堀栄蔵/柴田雄康の二人の歩みを回顧しながら、お二人が視野に置いていたフレミッシュ・モデルのオリジナルの姿を探ります。


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